講演会案内:「同意と尊厳」および「治療における倫理的制約」

会員各位

下記の講演会の案内が来ましたので、転送致します。

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Laurence AZOUX BACRIE(パリ控訴院弁護士、生命倫理学博士、メディエーター):
CONSENTEMENT ET DIGNITE~DEUX MOTS CLEFS DE LA MEDIATION
DANS LE DOMAINE DE LA SANTE~
同意と尊厳~保健分野におけるメディエーションの2つのキーワード~

日時:2016年2月13日(土) 14:00~17:00
場所:京都大学 文学部校舎第1講義室(フランス語、通訳あり)

講演概要
メディエーションは、人間の尊厳の尊重と社会平和の実現に必須であり、患者の希望と医療の現実の間で調整を図る役割を果たす。他方、医療分野で起こる紛争の大半は、情報と同意の欠如に起因する。それゆえメディエーションが不可欠なのである。メディエーションにおいて、尊厳と同意はいかなる関係にあるのか。一方で、尊厳は、人間に固有なものであり、倫理的、法的、医学的な側面から見れば、基本権の中身を構成する。他方で、同意は、あらゆる医療行為に先立ち必要とされる。尊厳と同意の双方が関わるケースとして、終末期における安楽死の問題が挙げられる。またヨーロッパ人権裁判所が、受刑者が十分にケアを受けられなかったことが非人道的な行為を禁ずる3条に反するとした、M.HELHAL 対 フランス事件判決(2015年)も興味深い。同意と情報提供は、ともに人間の意思表示であり、私生活の尊重と医療上の秘密の保護を求める権利に基
づく。こうした視点から、医療メディエーションの役割を改めて考えていく必要がある

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日時:2016年2月15日(月)
場所:上智大学(東京・四ツ谷)2号館2-508(通訳あり)

13:00~15:00
Ralf STOECKER(Bielefeld大学教授、哲学博士)
ETHICAL CONSTRAINTS ON MEDICAL TREATMENT(英語)
治療における倫理的制約

15:00~17:00
Laurence AZOUX BACRIE(パリ控訴院弁護士、生命倫理学博士、メディエーター):
LA MEDIATION EN SANTE, UN NOUVEAU DROIT DE L’HOMME(フランス語)
新たな人権としての保健分野におけるメディエーション

講演概要
メディエーションとは、≪当事者の自律と責任に基づく、社会的関係の構築と保障あるいは紛争の解決のためのプロセス≫であり、勧解、和解、仲裁とは区別される。フランスは、この分野について法制化を実現した最初の国の一つである。とくに、医療メディエーションは、弱者の精神的、心理的、身体的な尊厳が危機に晒されている場合に機能する。それは、保健分野での民主主義の実現という視点からも位置づけられる。患者は、医療の責任主体であるが、病を患い弱い立場にあるから、患者を保護するプロセスの中に、メディエーションを組み込むことが重要である。この点に関して、フランスでは、2002年の患者の権利法の中にいくつかの規定がおかれ、かつ「権利の擁護官」が患者の権利・自由の擁護を担っている。本講演では、市民社会の中で医療メディエーションどのように位置付けるか、医療メディエーションの精神が、患者の保護に相応しい未来を描き出しているかといった点を論じる予定である。

 

アズーバクリー先生・シュテッカー先生 上智講演会チラシ

アズーバクリー先生 京都講演会チラシ

Laurence AZOUX BACRIE先生講演概要

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