国際大会の中止について

 

日本医学哲学・倫理学会

第1回国際大会の開催中止について

 

日本医学哲学・倫理学会 会長 清水哲郎よりのメッセージ

 

 

 会員の皆様には、東日本大震災に際していかがでしたでしょうか。皆様ご無事であられることを念じつつも、ご自身が大変な苦難の時を過ごされ、あるいは、 ご家族、知人の方が被災された方も多くおられることと思い、遅ればせながら心からお見舞い申し上げます。私自身、被災地に近いところにおり、想像を絶する 被害を見聞きする機会もあり、心を痛め、また、なにかしなくてはという気持ちでおります。さて、そういう中で、大震災の被害状況と、それに続く、福島原子力発電所の事故の推移を、私共理事会は注目してまいりましたが、この事故の大きさと国際 的な影響および反響を鑑み、この11月5日(土)、6日(日)に予定しておりました、第一回国際大会を、やむを得ず中止するという決断をいたしました。

本大会は、かなり前から理事会が時間をかけて企画してき、昨年の本学会総会において、本年11月開催を決定[承認]し、国際交流委員会が中心となって具 体的な準備をしてきたものであります。会員の皆様のご期待の大きさ、また歴代の会長以下の理事、担当の委員の皆様のご努力を思い返すときに、ここで中止す ることは苦渋の決断でありましたが、私共は国際大会の趣旨に照らして、今の時期にはそうするのが最善であろうと考えた次第です。

ともうしますのも、国際大会である以上、海外から有力な研究者の招聘に加えて、多くの研究者の参加を募って、国際的な研究上の交流を図るのが趣旨であり ます。しかしながら、現在の福島原発の状況では、海外の研究者に心おきなく参加していただけないと言わざるをえません。本国に帰った留学生の多くが日本に 再び来ておらず、日本の大学に赴任予定であった方が就任をキャンセルするといったことが起きております。いくら私たちが国内の情報にもとづいて安全である と言っても(安全だと言えるかという疑義もあるでしょうが、言えるとして)、諸外国の視点に立ってみると、安心して来ていただけないのです。そのような時 に、招聘した研究者にそのまま来日を要請することは、失礼であり、万一の時の責任をとる力も私たちにはありません。まして、海外からの一般の参加は見込め ません。加えて、理事会メンバーが見聞きする範囲では、分野を問わず学術的な国際大会は次々と中止になっております。今年度のみならず、来年度分について の中止も目立ちます。私共の判断は、日本の諸分野の研究者たちの大方の判断と一致しているわけです。  こうした情勢判断に基づき、理事会は今回国際大会を強行するよりは、いったん中止して、今後、海外の方たちが安心して来日できる環境が整った時に、再 度、企画を立て直すほうが、本学会の国際的研究交流に益し、また、皆様のご理解を得て積んである資金の適切な使用になると考えました。

次に、このことに伴いまして、国内大会につきましては、国際大会に先立ち、また一部は国際大会とつながるかたちで、11月4日(金)、5日(土)に開催 することにしておりましたが、これを11月5日(土)、6日(日)に日程変更し、会場は東京大学本郷キャンパスのままで開催することといたしました。大会 テーマについては、やはりこの大震災後の厳しい状況に直面している私たちにとっての喫緊の課題を選定したいと考えております。

以上、本国際大会開催およびそれと連動するかたちでの国内大会開催は、総会で決めた[承認された]ことですので、本来でしたら、中止もまた総会で決める べきだというお考えもあると思います。しかしながら、こうした緊急の事態ですので、理事会決定として、中止といたしました。ここに皆様にこのことをご報告 し、改めて総会において、この件につきまして皆様の事後のご判断を仰ぐ所存でおります。会員の皆様には、曲げてご理解賜りますよう、お願い申し上げる次第 です。

なお、末尾になりましたが、皆様にはなお厳しい状況が続いている地方もあり、どうぞお疲れがたまりませんように、ご自愛ください。


お問合わせ:日本医学哲学・倫理学会 事務局
〒102‐8554 千代田区紀尾井町7-1
上智大学外国語学部
浅見究室内 Tel & Fax:03-3238-3937
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