研究委員会

第17回学会賞(2023年度)について

次に紹介する著書1編に学会賞が授与されました。


玉手慎太郎『公衆衛生の倫理学 ― 国家は健康にどこまで介入すべきか』、筑摩書房、2022年

学会賞授賞理由

本書は、書名でもある『公衆衛生の倫理学』に注目し、肥満対策から自己責任論、健康増進にかかわるナッジの問題点、そしてパンデミックにおける行動制限までの広範な論点を、一つずつ丁寧に取り上げて議論をされた完成度の高い研究書である。その議論は、国内外の 広範な文献の成果をバランスよく取り込み、同時に、異論や批判的視点を組み込んだ論点には高いオリジナリティと説得性が認められ、読み手を議論に誘い込み、共に考えることのできる論理展開となっている。多様な分野の研究者、そして臨床家にとっても、多くの刺激を受けつつ学ぶことのできる良書である。
また、著者である玉手氏は、政治哲学と倫理学を専門領域として多くの研究を行っており、本書には『医学哲学・医学倫理』に掲載された 2 編の論文が組み込まれている点も評価できる。
本書の議論が、医学哲学・医学倫理研究を大いに刺激し、更なる展開が期待できる点、および著者の学問に対する真摯な態度と将来性への期待から、本書及び著者を学会賞の対象として評価する。


第16回学会賞(2022年度)について
https://itetsu.jp/main/?page_id=2908

第15回学会賞(2021年度)について
https://itetsu.jp/main/?page_id=2771

第14回学会賞(2020年度)について
https://itetsu.jp/main/?page_id=2731


【研究委員会について】

研究活動委員会では、医学哲学・倫理学会賞の選考規程の見直し、選考基準及び方法の検討を行います。

2023総会-2025総会の委員

委員長:堀⽥義太郎
副委員長:⽵之内裕⽂
委 員:藏⽥伸雄、 榊原哲也、 霜⽥求、 杉原正⼦、 ⽟⼿慎太郎